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BATTLE ROYALE 外伝

第二部
中盤戦



26

 まさかこの島は一度プログラムを行なっていたとは・・・。
  人工トンネルを捜索して数分経った時だった。突然上の方から放送が聞こえてきた。
 「ダダダーン、おおーい元気かー、午後6時になりました。鬼月先生の放送の時間でーす。 まずは、死んだ人の発表です。えー、死んだ奴は一人!女子四番江碕みちる。 ああ〜残念無念。少なすぎだよ、一人は・・・。もうちょっとさー、動かないと、そして殺し合わないと。そこの所、よろしくなー。 では、禁止エリア行くぞー。午後8時からA=1、午後10時からH=3、零時がJ=4となってる。あっ、またハズレか。まあいいや。 そんじゃあお前ら頑張って生き残れー!アディオス!」
 アディオスだとぉ?ふざけるのもいい加減にしてほしい。一は鬼月の放送がやけに気に入らなかった。毎回毎回妙なハイテンションで喋り、 そして感情のないようなしゃべり方をする。先生としてじゃなくて、人間として腐ってる・・・。腐ったミカン以下だ。しかし気になる事が1つあった。
 毎回の禁止エリアはどうやって決めてるんだろうか、 学校でもそこの所は教えてもらっていない。もし鬼月自身が禁止エリアを選べるなら既に島の八割近くが禁止エリアになってるはずだ。
 一は机の引き出しから紙切れを1枚出し、その裏面に、禁止エリアの番号を鉛筆で書いてる敬二に訊いた。
 「敬二、禁止エリアって誰が決めてるか知ってるか?」
 敬二は書き終わった禁止エリアの番号を一に手渡し、「俺は覚えたからいい、お前にやるよ」と言うと、指をポキポキ鳴らしならが答えた。
 「聞いた話だが、禁止エリアはコンピューターが自動で決めてるらしい。だから鬼月とかそう言う奴らが決めるのではないよ、きっと。 地図に書かれてある升目は全部で110個、それで今まで島の中に禁止エリアがあまり出なくて、海の中ばかりだったのは、 きっとまぐれと考えていいだろうな」
 敬二はなにやら部屋の棚に置いてある幾つもの木箱を取り出しては中身を確認していた。それが気になった一は敬二に尋ねた。
 「それ、何だ?」
 よし、と言うように敬二は凄く小さな声でいい、開けた木箱を一に見せた。
 一の目の前に現れた木箱は、中から鉄臭い臭いがしていたが、見るとそこには幾つもの缶が入っていた。見た感じでは何が入ってるのか分からなかった為、 敬二に訊きなおした。
 「何が入ってるんだ?」
 「これか?缶詰だ。赤飯の缶詰にソーセージ、あと乾燥状の固形チョコレート、他は乾パン、揚げ餅だ」
 敬二は指を指しながら一つ一つ説明してくれた。
 「一が来る前も、ここにきて食料を調達してたんだ。ほとんどが期限切れのやつばかりだったけど、 中には大丈夫な物もある。それがこれだ。食料以外もこの部屋には結構いいものがあるんだ。ここにあって使えそうな物は、ミニコンロと、その ガスが入ったスプレー缶1つだ。あとはたくさんあるんだが、どれも古錆びれている物や、使えないガラクタばかりだった。一様ガスコンロは上の 洞窟に持っていってる。実際数時間前同じ様に、ここから水があれば出来るドライ雑炊ってのを持ってきて作ったが、結構うまくいったんだ。まあ 缶詰は温めなくても食えるがな。これもそれもすべて政府が、こんなプログラムなんてやらなきゃいいんだがな・・・」
 敬二は残念そうに、そして腹立った様子で、棚にあった小さな大東亜共和国の印、金の桃のマークが入った象の置物を地面に叩きつけ、思いっきり踏んだ。象の置物はガラス製であり、 地面に叩きつけた瞬間で既に割れたが、さらに敬二が上から踏むと、象は粉々になっていた。
 「くそっ!この国はどうなってんだよ!俺達は生きてはいけないってのかよ!くそう・・・大東亜・・・共和国・・・が・・・」
 一はいつも冷静な判断をする敬二が、こんなに焦った顔を見たのは初めてだった為、少々驚いた。しかし慰める事ができず、一は木箱と禁止エリアの書かれた紙を持ち、 敬二にゆっくり歩み寄り、一言言った。
 「戻ろうか・・・」
 敬二はゆっくりと頷くと、机の上に置いてあった、79年に行なわれたプログラムの、大まかな詳細が書かれた紙を手に取り、鼻でため息を吐き「ああ、行こう」と、少し暗い表情で 扉の前に立った。
 始めとは違って、今度は一が先頭で扉を開けた。ぎいいいと、錆びついた音がトンネルに響くのが分かり、2人とも部屋を後にした。
 静かなトンネルで、敬二も一も、一言も話すことなく歩いて行った。ただ、コツコツとトンネルを歩く音だけが聞こえた。
 敬二は何かを思い出した様に一の方に顔を向けた。
 「なぁ、一・・・」
 なぁ一、実は俺お前に言ってなかったが、お前を見つけた時にもう一人ある人物に逢ったんだ。俺がお前の倒れてる所に行った時に、 既に影野がお前の体を揺らして起こそうとしてたんだ。手に武器らしい物は持ってなかった為に、俺は影野の前に行ったんだ。最初は驚いていたけど、 影野と話を少ししてると、なにやら無性に時間を気にしていて、どこかに行かなきゃいけないらしいんだ。それで俺が洞窟の場所を教えて、 影野は自分が来るまで俺と同じ洞窟で休ませてやってくれと言ってきたんだ。それで俺が頷くと影野は静かに森林の奥深くへ消えて行ったよ ――――と言いたかった敬二だが、その時突然上の洞窟から大きな叫びが聞こえてきた。
 「きゃあああああ」と、女性の叫び声と、そのすぐに「うぎぁああああ」と言う声。正しくそれは敬二が聞いたことある声だった。 正確に言えば男の声の方は、すぐに小さくなって聞こえなくなったようだが・・・。
 とにかく急がねばと、2人は顔を見合わせ、「祥子と松笠の声だ!」と敬二が言うと、息のあった様に一も、「うん、急ごう」と頷き、2人は元来た階段へ走った。

【残り28人】




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