BATTLE ROYALE 外伝

クリスマス特別小説『ホワイトブロッド』
デスクリスマス・プログラム




 2001年終盤。誰がそれを予想しただろうか・・・。人は時代が変るごとに早いと口々に言う。それが人間それが世の中。
 大東亜共和国。黄昏の雪がめったに降らないこの香川県に、今年12月雪が積もった。一体何が起こるのか。予期せぬ事態、それがBR。それが第四中学三年E組。



 (この特別版は一切本編の第四中学編とは関係ありません。関係あるのは生徒の名前だけです)


 「ハッピーだぜ」
 「あんまり急ぐなよ」
 村瀬淳也は何年ぶりかの雪に喜びを隠し切れないでいた。その後ろから気だるそうに言っているのは、ゆっくりコタツに入ってテレビを見ていた 並木隆だ。隆は雪など興味が無いし、外は寒い。それなのに淳也に無理やり連れて来られた。
 「お前ほんと寒くないのか?」
 「え?寒くないよ。ほら隆!お前も雪と戯れろ」
 わざわざなんで学校に今いるのか隆は分からなかった。終業式も済み、今日はクリスマスの24日だ。といっても隆には関係ない。
 運動場ではしゃぎ回る淳也はまるで子供だ。あれが本当に中学三年生か?と隆は疑いながらも淳也に着いて行った。
 「はぁ、さむっ」
 白い息を吐きながら隆は本当に帰ろうかと思った。凍えるように寒い。風は吹いていないが、手に雪がつもり、手の体温を奪っていく。
 「ん?」
 目の前ではしゃいでいた淳也が突然呆然と立ち尽くしていた。「どうしたんだ?」と隆は不思議そうに話し掛けたが、すぐに淳也の見ている先を見て分かった。
 「な、なんだあれ?誰だよ」
 淳也と隆が見つめる先には、赤い服に、赤い帽子、赤い長靴、そして白い大きな荷物。そう、何処から見えもサンタクロースだ。しかし中学三年までいくと サンタなんて信じないのが普通だ。勿論淳也も隆も一体サンタではなく、誰が変装しているのか気になった。学校も既に冬休みに入っていて、校内には誰一人としていない。だから 生徒が勝手に入ってもだれも注意しないし、関係の無い人が入っても誰も注意しない。
 「おいあんた?こんな寒いのにサンタクロースになって誰のお家にプレゼントお届けかい?」
 隆はポケットに手を突っ込んだまま、下を俯いているサンタに近づいた。距離にしてみればそれほど遠くは無いが、雪のせいであまり視界がよくない事は確かだ。
 「や、やめなよ隆。知らない人だったらどうするんだよ」
 「へっ、知らない人?それならなお更だ。なんでこの学校に用があるのか聞く必要がある。生活係としてな・・・」
 運動所に積もった雪にはどんどんと隆の足跡が残っていく。その間もサンタは何も言わず、じっと下を俯いている。その態度に少し腹立った隆は眉毛を歪めて 更にサンタに近寄った。
 「おい、サンタさんよぉ!あんたは誰ですかー!」
 隆が叫んだその時だった。スッとサンタが隆の顔をじっと見た。雪のように顔が真っ白で全体的に整っている。美人。冷酷な瞳。まさに雪女のように冷酷で美しい顔だった。
 「・・・・あっ」
 その美人な顔に少し驚いた隆だった。この学校の生徒では無い事が確かに分かった。(あんな美人、先生にもいない)
 「・・・・・あなたは並木隆くんね」
 「え?は、はい・・・」
 「あなたが始めてよ。それじゃあ今から開始します。第臨時特別五十九番プログラム。デスクリスマスにあなた達第四中学の三年E組が選ばれました。 私が担当サンタクロースの雪乃桜です。よろしくね」
 なにを言っているのかさっぱり分からない。「どうしたの」と後ろから淳也が歩いて来た。一体、一体何を言いたいのか?この美人・・・いや、雪乃桜は。 隆は更に眉毛を中心に寄せて桜の瞳を見つめた。
 「はぁ?」
 「だからね並木君。隣の・・・・えっと村瀬君かな・・・、その子と協力してもいいからこの桜サンタを殺しなさい。殺した人にはビッグなクリスマスプレゼントが 待ってるから。さあ説明は終わり。早く私を殺しなさい。素手では何もできないから校内に行ってなにか包丁かなにかでさ・・・」
 分からない。殺してくれだと?おかしい。頭狂ってる。夏ならともかく、寒い冬にボケた美人が今目の前に立っている。隆は一度淳也の顔を見て逃げるぞと 口パクで言った。それにうんと淳也は頷いた。
 「・・・わかったよ。俺達帰るからさ・・・それじゃあ」
 「何言ってるの?あなた達は私を殺すまでは学校から出れないわよ」
 「な、なんなんだよお前!一人で喋ってろ!いくぞ淳也!」
 急ぎ足で隆は淳也の手を握り、正門に向かって走った。地面が雪の為に思うように早く歩けない。
 「ふうん。逃げるのね・・・。いいわ。それじゃあさようなら」
 その言葉に淳也は反応した。一度後ろを振り返った視界には、我を疑う光景が焼きついた。桜は肩に提げていた白い布袋から、大きくて太い機関銃を出したのだ。
 「隆!やばいよ!あいつじゅ、銃!」
 腰を抜かしその場にドスンと倒れた淳也に気がつき、隆は一度淳也を見た後、桜がいる方へ目をやった。そこから隆の視界は真っ暗になった。
 目の前には眩い光が凄い速さでチカチカとフラッシュバックのようになり、工事のドリル音のような音がしたあと、体に重い何かがぶつかった。
 「うがっ」
 「うわぁああ!」
 すぐ目の前で、大きな銃弾を幾つも喰らい、蜂の巣になっている隆がいた。一瞬。まさに秒殺だ。体が一気に震え上がるのが分かった。雪に倒れた隆の死体は ドクドクと血を穴という穴から噴出しており、それがつぎつぎに雪と混じり血の体温で雪が溶かされていく。隆の倒れている一面が血の池となった。
男子十三番 並木隆死亡
 「さあ村瀬君。武器を取って私を殺しなさい。さもないとそこの死体みたいになるわよ。さあ」
 「ああ、ああああ」
 震えて立つ事ができない。目の前の桜は片手に大きな機関銃を持っており、その周りには無数の弾が落ちている。桜は冷酷な目で淳也を睨んでいる。
 「・・・・。さあ早く・・・・・。早く行けっつってんだろうが!このちびが!」
 怒りを露わにした桜は「ダダダダダダダダ」と空に向かって機関銃を撃ちはなった。その爆音で淳也は更に桜が怖くなり、無理やり腰を浮かせてふら付きながら 学校の下駄箱に向かって走った。いや、誰がどう見ても歩いているが、淳也自身走っているつもりだった。
 「・・・あ、こちら桜。今から始まりました。一つ見せしめとして一体の死体があるので、今から緊急でどこか目立つ所に・・・はい。そうです。 そちらはきちんとしているんですか?ええ、わかりました・・・。それでは」
 後ろでは何か話し声が聞こえたが、今の淳也には走る事が精一杯だった。目じりにはじわりと涙が溢れてきた。一瞬の事だが視界には今でも薄っすらと隆の 死体が浮かんで見える。
 その後後ろから幾つもの靴がこっちに歩いてくる。それは桜がいたところで止まり、すぐにヘリのようなものが上空に揚がった。と、同時に 学校の鐘の音とは少し違った音が学校全体に響いた。
 「ピーーーーーーー」

【サンタクロース殺害まで残り38人】




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