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BATTLE ROYALE 外伝キリ番特別編

〜山本正樹の場合〜



  「おい山本!お前が言ってたあの映画、いま一位だぜ」
 中学2年の12月のある昼休み、教室で空を見上げていた正樹は同じクラスの並木隆(男子十三番)に話し掛けられていた。
 なにやら正樹が以前映画の話で隆と話していた時に、その年に公開するホラー映画の「Du-Du-Co」が最近映画のランキングで一位になったことで、 隆は同じ趣味の正樹に話し掛けてきていた。
 正樹の友達は隣クラスの少し目が大きい土屋聡(二年A組男子十一番)ぐらいだった。幼い頃から正樹には想像力が高く、いつも親友と呼べる人間はいなかった。
 クラスの中でも勉強はそこそこでき、柔道部でも3年を簡単に倒すぐらい実力はあった。しかし正樹には同級生と話す度になにかが違うと感じていた。 それは自分の高い想像力と友達の想像力が全く合わないからだ。周りからしてみれば正樹いつも何を考えているのか分からない近づきにくい人間だった。
 自分と考えが合わないことから正樹は周りを怖がるようになった。ただ土屋聡だけは小学校の時からの友達でそれなりに趣味も考えも合っていた。しかし その聡も中学に入ってクラスが分かれてからは、自分以外の同級生と付き合うようになった。
 一時期不登校気味になったが、その時出合ったのがホラーという"人間の素″だった。最初に見たホラー映画は、深夜のテレビ番組で放送していた 「切り裂きジャック」がきっかけで様々なホラー映画に興味を持ち始め、一日に2本ビデオ屋で借りてきては見るようになった。
 面白い・・・。それが心から出た言葉だった。いろんなホラー映画で感受性は豊かになったが、それとは逆にマニアにもなっていた。そのホラーが好きな 友達を見つけて今度こそ真の親友を見つけようと学校に行き始めたがやはりいつもと変らない視線でクラスメイトは正樹を見た。
 「ホラー映画最高だよ」ちょっとした正樹の発言にクラスメイトは変な奴だと思う目で見られた。
 しかしそれで正樹はホラー映画を見ない様にはならなかった。既になにかに取り付かれていたのか、ますます正樹のホラー趣味はグレードアップしていった。 一つ一つのホラー映画を見ては内容を細かく理解し、変った怪物や有名なホラー映画のフィギュア・カード・ぬいぐるみなど様々なホラーグッズを 買うようになった。
 「あんたもうそんな趣味が悪いのやめなさい」
 母も分かってくれない。父は何も言わなかったが心の中では母と同じような事を思っているだろう。けれど正樹にはそんな注意はただの戯言と受け止めて いた為、ホラーの趣味はどんどんと広がるだけだった。
 ただ中学でもホラー映画の他に興味があることがあった。それは部活の柔道だ。まだ部活にも真剣に励んでいた2年の時点では、何故かホラーと共感できる所があった。
 部の中でもエース的存在の正樹は、ある日一度も戦った事のなかった、髪がオールバックの前沢忠文(二年A組男子十五番)と交戦した事があった。忠文は以前から 陸上部に入っていたが、先輩を殴ってそのまま退部したらしく、二年の春に柔道部に入ってきたらしい。(そこら辺は正樹が休んでいた時の出来事だったのでよくは分からない)
 ただ忠文の喧嘩が強い噂は知っていた。家柄が武術をやっていて、他にもたくさんの武術を習っているまさに喧嘩のスペシャリストだった。それに隣クラスの 聡から聞いた話だが、体育の授業前に着替えていた男子部員一同が目を丸くして注目した男がいた。それが忠文だった。ただならぬ筋肉が男子部員の目を 引き寄せた。とてもじゃないけど体操部の人間の体よりは締まっている体だったらしい。  「盾宮先生、俺エースと一度対決したいです」
 ある雨が降る午後3時、いつもの様に部活をしていた正樹は、忠文が顧問で少し体系がふっくらしている盾宮先生に、自分と戦いたいと言っていたのを聞いた。
 外は雨のおかげで体育館とは別にある武道館も、体育館同様に柔道部員と剣道部員の熱気で蒸し暑かった。「ヤー」や「オリャー」と言った剣道部員の 声が武道館内に響かせていた。
 「山本、前沢がお前としたいと言ってるがどうだ?無理に戦うことはないが、前沢も途中参加ではあるが今では柔道部の中でもお前のすぐ下 ぐらいの強さを持っているぞ。先生は戦って欲しいが、お前が嫌ならそれはそれで構わんが・・・」
 「・・・いいですよ。やらせてください」
 この時なんでそんな余裕な言葉が出たのかわからなかった。いくら正義感が強いとは言え、二年でも強いと有名な前沢忠文だ。
 どこか心の奥にあったのだろう。途中参加が生意気な・・・。
 


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